木々 康子

作家(東京女子大学で歴史と哲学を学ぶ)

 一九二九年、父親の任地、三重県津市で生まれる。
父親の転任とともに、千葉、松本、八王子、札幌、横須賀、静岡などに移り住む。

 私小説を中心とした日本の近代小説にあきたりず、「日本の近代とは何か」をテーマとした長篇小説を書く。その中の主人公の一人で、明治期に、パリを中心に活躍した美術商林忠正の評伝やエッセーも多い。


作品一覧

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 ホームページを改定するたびに、時勢に合わせて冒頭の文を書いてきたが、今回は休止することにした。選挙結果も分からず、政治、経済など期待することはなく、何も述べる気にはなれない。また、私は日本の近代のそれぞれの時期を小説として書いてきたので、このホームページの一冊ごとの解説に、その時代の問題、批判を書いている。また今回は「追記」として、特に現在問題となることを書いているので、読んで頂きたいと思う。
「敗戦まで」を刊行してから十年余を経て、もはや「戦争」に関心を持たない人々も多くなり、安倍自民党総裁は憲法改定、国防軍の創設などを声高に叫んで、あの戦争の真実や責任を問うことなど忘れ去っている。彼の祖父は戦争中商工大臣を務め、戦犯容疑で巣鴨拘置所に収容されていたが、米ソの冷戦に救われて元首相東條英機の処刑の翌日に釈放された。その後、首相にまでなり、大勢の反対の声の中、日米安保条約の批准を果たしている。安倍もまた同じ道を行くのか。特定の思想に縛られる硬直した左翼も困るが、右傾化などとんでもないことではないか。国民それぞれの覚醒を望んでやまない。
(二〇一二年十二月十三日)